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いろんなサイトを覗いていると、海外で使用する電源ケーブル(延長ケーブル含む)について、間違った情報がたくさん書かれていて、かなり驚きました

そこで、海外で使用する電源ケーブルの選び方とその理由についてまとめてみました!

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1.日本の電源ケーブルで全然問題ない!

いろんなサイトでは、日本の電源ケーブルは100V用であり、海外のように100Vよりも高い電圧の国では、このケーブルは使えない、と書かれてあることがあります。

いま、私のパソコンのアダプタをよく見てみると、アダプタ本体には100V~240Vという表示がされていますが、電源コードのコンセント部分には確かに、「7A 125V」と書かれてあります。

この125Vという表示から、「日本の電源コードは海外の240Vの環境では使用できない」、という記事が多いのですが、これは誤りです。

なぜなら、、、電源アダプタは電圧を考慮しなければなりませんが、電源ケーブルは電流を考慮すべきなのです。

電源ケーブルは電流を通すことが目的なので、その能力はどのくらいの量の電流を流すことができるかであり、電圧は直接的には関係ありません(ただし、数千V以上の高電圧は絶縁体の性能を考慮すべきなのでやはりだめです)

また電化製品について考えてみると、それらは海外で使おうが、日本で使おうが、能力が似たような機器(パソコンも、携帯電話も、テレビも洗濯機も)が必要とする消費電力は日本でも海外でもほとんど同じです。

消費電力(W)=電圧(V)×電流(A)

なので、消費電力が同じで、電圧が高い海外では、少ない電流でその機器は動作しますし、逆に、日本のように海外よりも電圧が低い国では、電流をたくさん流して、その機器を動かす必要があるのです。

では、電気ケーブルの話にもどりますが、電気ケーブルの性能は、導電体(材質)その太さ(断面積)で決まります。

鉄よりも、銅の方が電気をよく流すので、ほとんどの電気ケーブルの線には銅が使われています。

一方、電源ケーブルの太さは、どのくらいの電流に対してはどのくらいの太さでなければならないというのが、法律で定められており、大容量の電流を流す必要があるときほど、電線の太さも当然太くなるのです。

・・・と、専門的な話から日本と海外の電源ケーブルの話に戻りますが、日本の電化製品は低い電圧で動かさなければならないので、日本の電気ケーブルは大容量の電流に対応しており、太い電線が使われています。そのケーブルを海外の電圧が高い地域に持って行ったとき、ケーブルに流れる電流は日本よりも少ないので、日本の電気ケーブルは海外で十分に使用可能*なのです

(*ただし、雷サージ付の電源コードは予期しない動作につながり危険なことがあるので、使用しないでください)。

2.海外の電源ケーブルは、日本で使うと危険!!

日本の製品を海外で使用することは問題ないと説明しましたが、その逆はどうなんでしょう??

その製品の電圧が日本の100Vに対応していれば、電圧は問題ありませんが海外の電源ケーブルは良く確認しないと、危険です

日本で動作させるには必要な電流を安全に流せない電源ケーブルもあります。そのような製品を使用していると、電線が発熱して、最悪の場合発火し、火事の原因となります

ちょっとよりみちコラム
ネットや電気屋さんで売られている、高電圧対応というケーブルがありますが、備考欄に「本機は日本国内では使用出来ません。」などと書かれてあるのは、日本で使った場合の電流に対応できないからです。このような製品は、絶縁体として日本の電気コードよりもいいものを使っているのかもしれませんが、おそらく電線自体は細いものを使っているので、日本では使えないということになるのでしょう。どうせなら、絶縁体も電線もどちらでも安心できるものを作って売ればいいのにと思いますが。。。

3.まとめ

  • 日本で使用されることを前提とした製品は、その製品が電圧さえ対応していれば、海外で使用することは問題ない(ただし、雷サージ対応のものを除く)。
  • 海外で購入した製品を日本で使用するときは、電源ケーブルは良く確認しないと危険なときがある。

どうでしたか?なるべくわかりやすく書いたつもりでしたが、もしそうじゃないでしょうという意見や、ここがわからないんだけどという質問などありましたら、遠慮なくお寄せください。

補足

では、ケーブルは電圧がどんなに高くなっても大丈夫かというと、別の問題のためにダメです、ということになります。この時は、まさに電圧が問題です。数千Vとか数万Vとかの高電圧になると、電流は問題ありませんが、電線を覆っているゴムにもし亀裂などがあれば、そこから外に漏電して、事故につながる恐れがあります。

ただ、日本の電圧の100Vと海外の電圧の240V程度の差であれば、そこまで電気ケーブルの被覆について心配する必要はありません。

22 コメント

  1. 対雷機能が付いたタイプは1発でブレーカー落ちますよ!
    パリで飛んでこれは不良品だと思いましたがローマでもバチっと落ちました。言葉が通じないので大変でした。
    補足入れた方が良いですよ。

    KK
  2. KKさん、こめんとありがとうございます。
    ただちょっと、状況がイメージできないのですが、ブレーカーというのは建物(ホテルとか、アパートとか)の分電盤のブレーカーのことでしょうか?
    言葉が通じないということは、そのブレーカーが落ちたときにホテルの従業員やアパートの管理人と話して、相手がよく理解してくれなかったという風に想像しました。また、そのブレーカーが落ちる原因が延長ケーブルに起因するとおっしゃているように理解しました。
    この理解に沿ってご返答しますと、建物のブレーカーが落ちるかどうかは、どんな電気製品をどのくらい使用するかどうかによって決まります。ドライヤーとか、アイロンとか、熱を発生するものは通常消費電力が大きいので、ブレーカーの許容範囲を超えて部屋でそのような消費電力の大きな電化製品をたくさん使うと、そのブレーカーは落ちるでしょう。
    ただ、その場合も延長ケーブルの種類と、ブレーカーが落ちるかどうかはあまり関係のない話かと思います。もっとも消費電力の大きな電気製品を同じ延長ケーブルにつないで使用したとき、ケーブルの規定以上の電流が流れれば、ケーブルのビニル被覆が溶けて、焼けたりするので注意は必要です。

    もし、そもそもの認識が違っていたら教えてください。

    master master
    1. KK さんが書かれたコメント,重要なのは「対雷機能」付きのものは危ないということだと思います.

      いわゆる雷サージ対策がなされた延長コードは,ホット線とコールド線の間にバリスタ (非線形抵抗) があり,大きな電圧がかかるとそこの抵抗が下がって電荷を逃がす,といった動作をするのが典型的です.

      なので電気製品をつないでいなくても,大きな電流が流れてブレーカーが落ちたり,延長コード自体が破損したりする可能性があります.

      「雷対策なんだから 240 V 程度で発動しないだろ」と思ってしまいそうなのですが安心はできません.私はつい先月,中国の 240 V 電源に日本のテーブルタップをつないで発煙させた実績があります(笑).帰国して分解してみたら,ボロボロに炭化した元バリスタらしき円盤が見つかりました.

      通電ランプのように外から見てわからないものなので,よくよく注意する必要があるかと思います.

      かがみ
      1. かがみさん、KKさんのコメントについて、解説頂きありがとうございます。
        正直なところ、存じない内容でした。

        記事の必要な部分に、「雷対応のコードは予期しない結果につながる可能性があるので、使用しないほうがよい」という旨、追記します。
        どうもありがとうございました!

        master master
    1. SSさん、電源ケーブルで通電させると電気がつくものというと、個別スイッチがついていたり、雷サージ用のランプがついたりするものでしょうか?たしかに、そのランプや回路自体が電圧に対応していない可能性はあります。今回の記事で紹介しているような、別の機能のない電源供給だけをするタイプだと間違いなく使えます!100円均一のシンプルなケーブルで十分ですよ。

      master master
  3. 差込口が4つか5つあって個別スイッチが付いていて、15アンペア125ボルト合計1500Wまでと記されている延長コードは海外240ボルトで使えますか?

    フルカワ
    1. フルカワさま

      コメントをいただき、ありがとうございます。
      個別スイッチがついている延長コードの場合は、単純な電線と異なりスイッチ部や個別スイッチ部分によく付属しているランプ部が240Vに耐えられる製品かよくわからないため、「不明」とさせてください。

      master master
    1. ヒロタさん
      お返事がずいぶんと遅れました。すみません。
      54Wの照明で、240Vだと、1つの照明あたりの電流値が、0.225A(54W÷240V)ですので
      3つ照明を同時に使用しても、合計の電流値は0.675Aです。

      延長ケーブルで流してもよい電流値は3A程度はあると思いますので、全く問題ないと思います。

      master master
  4. こんにちは。
    まさに今、よそのサイトで「ACアダプターは海外対応していてもケーブルがダメなものが多いからよく数字を見て確認して」という話を読んで慌てていろいろ調べていたところです。
    (ケーブルの数字までは把握しないまま過去に何度も電圧の高い国で充電していたのでおかしいなとは思ったのですが・・)

    アマゾンで海外対応ケーブルなるものをポチる前にここにたどり着けてよかったです!ありがとうございました。

    ポリ
  5. はじめまして、こんにちは!
    とても役立つ情報を提供してくださり、ありがとうございます。
    私も上のポリ様とまったく同じで、ネットで海外での日本の電気製品の使用を検索していたらケーブルも海外対応している必要があるとの問題にたどり着き困ったなと思っていたところでこちらのサイトを見つけて"なるほどー"と思いながら読ませて頂きました。

    そこで一つお尋ねしたいのですが、日本で使っているモバイルバッテリーを海外(220~240V、50Hz)で使いたいと考えています。
    このモバイルバッテリーには〈 Input:DC5V=1.5A Max / Output:DC5V=2.1Max 〉と記載されています。
    いつも日本でこのモバイルバッテリーの充電するのに使っているのは、急速充電2対応のACアダプター〈入力:100-240V~50/60Hz 0.6A(41VA-55VA)、出力:5.0V=1.8A、9.0V=1.8A、12.0V=1.35A〉と、このACアダプターとモバイルバッテリーをつなぐケーブルは急速充電2A対応のUSBケーブルを使っています。
    海外でもこのACアダプターとケーブルで上記のモバイルバッテリーの充電は可能でしょうか?

    ケイナ
    1. ケイナさん
      お問い合わせいただき、ありがとうございます。
      私もよくモバイルバッテリーや急速充電2対応のACアダプタを使用していますが、海外でも全く問題ありません。

      今回のケースでは、ACアダプタが100-240V~50/60Hzに対応している時点で大丈夫です。

      モバイルバッテリはスマホの電池切れを行際ために特に旅行中は必須ですね。

      一方、空港のセキュリティ検査では、ひっかかるので心の準備をしておくといいと思います。
      バッテリが入ってるようだけど、かばんを空けて見せてください、と言われます。

      PCと同様に、最初からトレーに出して検査を受けるといいかもしれませんね。

      楽しい旅行になるといいですね!

      master master
      1. 早々のご回答ありがとうございました!
        これで安心して海外でモバイルバッテリーを使うことができます、助かりました!

        この頃は、バッテリーを預け荷物に入れられないようなので、仰られるとおりに手荷物で持って行き、検査の際にはトレーに出して通過したいと思います。

        本当にありがとうございました!

        ケイナ
    1. メガネさん

      15A-125Vと表記があるので、この情報が誤りでなければ大丈夫かと思います。
      個人的には日本製品でないという理由で、表記の値が信用できるかわかりかねる部分があり、出きれば
      ・たこ足配線をしない
      ・PCや充電器類の接続にとどめ、ドライヤー、アイロン、電気ケトル、炊飯器など熱を扱うような消費電力の高い製品は接続しないようにした方が無難かと思います。

      master master
  6. 正しい情報だと思います。経験上、日本の安いテーブルタップでも240Vで問題になったことはありません。ただ、通電させるとランプが付くようなものは、ランプ部分がつないだ瞬間にパーンと音を出して壊れます。余計なONOFFスイッチのないやつなら大丈夫です。

    あおけん
  7. こんにちは初めまして!
    5/4からスペインに行くのですが、ツアー会社へ15A
    125Vの3口付延長コードは使用できるか?と聞いて
    みましたが、不可との回答でしたので色々と検索して
    いて★master様のサイトに辿り着きました。
    何の付加装備(通電ランプ等)が付いていなければ、単純に
    電圧は関係なく、電流が問題だと考えていましたので
    やはり使用できる!が正解ですね?
    同様に3口タップも使用できると言う事でよろしい
    でしょうか?(許容電流の範囲内)
    よろしくお願い致します。

    マーチャン
    1. ★master様
      早速のご返答ありがとうございます。
      スペインはBMWのレンタルバイクで、バルセロナを起点に
      一部フランス領に入りバルセロナに戻ってきます。
      ピレネー山脈沿いの道路も走る予定で、10台のバイクでの
      ツアーです。
      この度は大変有難う御座いました。

      マーチャン

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