エコノミークラスに比べ、ビジネスクラスではサービス面でいろいろな優遇があります。
今回は、エコノミークラスとビジネスクラスとのサービスの違いを比較し、ビジネスクラスを選択するための合理的な理由、なぜ選ばれるのかを検証したうえで、ビジネスクラスで海外に行くためのお得な方法や価格について調べて、まとめてみました。
これまで私は仕事で時々ビジネスクラスを利用し、個人で海外旅行に行くときはエコノミークラスを利用していたのですが、、ビジネスクラスの方が状況によっては、いい場合があると確信しました。私の場合、次からは個人でも積極的にビジネスクラスの利用を検討していきます。
以下に、まずサービスの違いを紹介したうえで、ビジネスクラスを得るための方法と金額、また個人でもビジネスクラスを利用したほうが良いと判断した理由について、ご紹介します。
サービスの違い
エコノミークラスとビジネスクラスのサービスは以下のようなところで違いがあります。それぞれ、簡単に説明いたします。
【搭乗前】
- ビジネス専用カウンター
- 預け荷物重量、手荷物個数の優遇
- ビジネス専用セキュリティチェック、イミグレーションカウンター
- ビジネスラウンジ、シャワー
- 機内への優先搭乗サービス
【搭乗中】
- ウェルカムドリンク
- 定期的なおしぼりサービス
- グレードアップした機内食
- 時間の余裕のある機内食サービス
- 長時間の滞在、就寝に適した快適なスペース
- アメニティグッズ
- その他
【搭乗後・トランジット】
- 優先イミグレーションカウンタ
- 手荷物受け取りの優先サービス
- ビジネスラウンジ、シャワー
- トランジットホテル
- その他
それぞれについて、簡単にご説明します。
【搭乗前】
ビジネス専用カウンター
航空会社のカウンターには、ビジネス・ファースト専用のカウンターがエコノミークラスとは別に用意されており、チェックイン時の長蛇の列に並ぶことなく、優先的にチェックインをすることができます。
エコノミークラスだとチェックインまでに30分から長いと1時間も待つこともありますが、ビジネスクラスでは長くても10分程度となり、ストレスがずいぶん軽減されます。
預け荷物重量、手荷物個数の優遇
エコノミークラスとビジネスクラスでは、預け荷物の重量や機内持ち込み手荷物の個数に違いがあります。
航空会社によっても異なりますが、エコノミークラスが預け荷物23kgのところ、ビジネスクラスでは30kgだったりします。
手荷物は、エコノミークラスだと1個までとしている航空会社が多いのですが、ビジネスクラスだと大きな荷物でなければ2個、3個の持ち込みは普通です。
主要な航空会社の預け荷物に関する既定は以下の通りです(2017.5.28調べ)。
航空会社 | エコノミークラス | ビジネスクラス |
ANA | 23kg、2個 | 32kg、2個 |
JAL | 23kg、2個 | 32kg、3個 |
エミレーツ航空 | 合計20kg~35kg、ただし1個の最大重量は32kg | 合計40kg、ただし1個の最大重量は32kg |
トルコ航空 | 23kg、2個 | 32㎏ x 2個(2017.7より) |
タイ航空 | 合計40kg、ただし1個の最大重量は32kg | 合計30kg |
キャセイパシフィック | 合計40kg、最大2個 | 合計30kg、最大2個 |
ルフトハンザ | 23kg、2個 | 32kg、2個 |
エールフランス | 23kg、2個 | 32kg、2個 |
KLM | 23kg、2個 | 32kg、2個 |
ユナイテッド航空 | 23kg、2個 | 32kg、3個 |
*上記の既定は、航空会社の規定変更により変更になる場合がございます。実際のご利用の際は、ご搭乗予定の航空会社の最新の規定をご確認ください。
ビジネス専用セキュリティゲート、イミグレーション
チェックイン後、ビジネスクラス専用のセキュリティゲートとイミグレーションカウンターが設置されている場合があります。そのような時には、チェックインカウンターで、航空券を渡される時に説明がありますので、聞き漏らさないようにしましょう。
ビジネス専用のゲートやイミグレーションを利用することで、列に並ぶ時間がほとんどかからなくなり、余計なストレスから解放されます。
タイのスワナプール国際航空でのタイ航空利用時や、ドバイ空港でビジネス専用のこれらが用意されています。
ビジネスラウンジ、専用シャワー
チェックインと出国審査(イミグレーション)を済ませたあとは、エコノミークラスだと搭乗予定時刻まで、空いているベンチを探して時間を待つか、適当なレストランに入って時間をつぶすんですが、食事が終わった後に混んで来たら再びレストランを出て、適当なベンチを探すハメになります。
ビジネスラウンジでは、その分ゆっくりソファで時間までゆっくり過ごすことができますし、また仕事で海外に行く場合はコンセント付のデスクで仕事をする時間にあててもかまいません。食事(軽食のこともある)や飲み物’(お酒やソフトドリンク)も無料で提供されています。
また、多くのラウンジにはシャワーが併設されていますので、汗を流してさっぱりすることもできます。タオルやシャンプー石鹸類はおおむね備え付けられています。
タイの空港では、ビジネスクラス以上専用のマッサージサロンも用意されており、肩もみかリフレクソロジーのどちらかを無料で受けることができる、というサービスを用意している空港もあります。
機内への優先搭乗サービス
搭乗時間になったら、乗客の機内への案内が開始しますが、障がい者、お子様連れのお客様に続いて、ビジネスクラスの方の優先登場が始まります。
多少、ゲートへの到着が遅れ、エコノミークラスの方が登場の列を作っていたとしても、ビジネスクラス以上はその列に並ぶことなく、そのまま係員にチケットを提示することで、機内への登場が可能です。
【搭乗中】
ウェルカムドリンク
機内に乗り込み、落ち着いたころに客室乗務員から、ウェルカムドリンクとおしぼりの提供が多くの航空会社から提供されます。
ソフトドリンクやシャンパンのサービスが行われることが多いようです。出発前までこの飲み物を飲みながら優雅なひと時を過ごすことができます。
定期的なおしぼりサービス
搭乗直後に提供されるおしぼりサービスは、その後も定期的におしぼりが配布・回収され、手をふくなり、顔を拭いてさっぱりするなりすることができます。エコノミークラスでも、簡易おしぼりの提供があるときもありますが、ビジネスクラスのおしぼりは本当にタオル生地のおしぼりが配られることが多いようです。
搭乗直後、食事の後、就寝時間の終了時、などで行われるようです。
グレードアップした機内食
エコノミークラスでは、プラスティックやアルミの簡易容器に用意された簡単な食事が多いのですが、ビジネスクラスの場合、より本格的な食器にまともな食事が用意されます。
また、食事の前に事前にメニューが配られ、2、3個のメニューの中から好みに合わせて、選べるようになっています。
また、離陸後に食事の提供前に、アルコール類とナッツ等のおつまみの提供サービスが行われることもあります。
時間の余裕のある機内食サービス
いつ食事を提供するかも、ビジネスとエコノミーでは差別化されています。どちらもより機内を快適に、また少しでも就寝時間を長く確保してくれるように配慮されています。
たとえば、比較的早く朝到着する便だと、ビジネスクラスはぎりぎりまで長く寝ていられるよう、エコノミークラスよりも後に朝食が提供されます。また、夜の遅い時間に出発する便では、少しでもはやく就寝できるよう、まず初めにビジネスクラスから食事が提供されるようになっています。
長時間の滞在、就寝に適した快適なスペース
ビジネスクラスを選ぶ最大の理由かと思いますが、シートの快適さは、エコノミークラスとは断然違います。
一部の機体を除いて、シートはフルフラットの状態になります。また、後ろを気にすることなく倒すことができ、快適な就寝が得られるよう配慮されています。
エコノミークラスだと、現地に到着した日は疲れてぐったりで、その日はホテルで休んだり、だらだら過ごしたり、無理して観光することもありますが、ビジネスクラスでは機内を快適に過ごすことができるため、現地についたらすぐに観光などを楽しむことができます。
アメニティグッズ
ビジネスクラスでは、搭乗後に専用のアメニティポーチを渡されることが多く、この中には簡易スリッパ、アイマスク、耳栓、くし、歯磨きセット、スキンクリーム等が入っており、搭乗中あるいはその後の旅行中に使うことができます。
その他
ビジネスクラスに搭乗することで、以下のようなサービスの提供がある場合があります。
- 新聞や雑誌などのサービス
- 上着、コートなどの預かりサービス
- トイレの中のアメニティ類が充実
- ビジネスクラス専用のトイレ
- 現地到着後、優先的な降機
- バーカウンターの設置(一部の機体のみ)
【搭乗後・トランジット】
FAST TRACK (優先レーン)
空港到着後、ビジネスクラスの搭乗者専用のイミグレーションカウンターや、トランジットカウンターが設けられている空港があります。他の乗客と同じように並ぶ必要がなく、スムースな対応を受けることができ、ストレスもかかりません。
手荷物受け取りの優先サービス
荷物の受け取りの時もビジネスクラスの乗客は優遇されています。荷物は一般の搭乗客よりも先に出てくるようになっており、荷物を待つ時間を減らすことができます。
これによって、必要な手続きを少しでもはやく済ませることができるように配慮されています。
ビジネスラウンジ、シャワー
乗継便の場合、次の乗継までビジネスラウンジで過ごすことが可能です。シャワーも併設されている空港が多く、機内での疲れを落として、さっぱりすることができます。
待ち時間が6時間を超えるようなときには、ラウンジではなく空港内、あるいは空港に近接したホテルが用意されることがあります。エコノミークラスでも同様なサービスがある場合がありますが、ホテルや部屋のグレードが異なります。
サービス面の違いのまとめ
いろいろな面でのビジネスクラスとエコノミークラスのサービスの違いについて比較してきましたが、その違いはざっくりと次のようにまとめられると思います。
- 目的地に到着したときに、ベストな体調になっているか。
- エコノミークラスでは・・・ストレスや睡眠不足、体力的に精神的に疲れやすい
- ビジネスクラスでは・・・目的地に到着してすぐに観光を楽しめる
ビジネスクラスチケットの入手方法
購入する場合
たとえば、次の4つの経路の場合のエコノミークラスとビジネスクラスの航空券代を比較してみました。
エコノミー(円) | ビジネス(円) | 価格差 | |
東京ーバンコク | 59,650 | 155,650 | 2.6倍 |
東京―ホノルル | 59,710 | 155,710 | 2.6倍 |
東京―パリ | 72,280 | 249,930 | 3.5倍 |
東京ーニューヨーク | 80,340 | 334,890 | 4.3倍 |
検索条件
- 航空券検索は、航空券の比較購入で有名なSkyscannerにて検索
- 日本を木曜日発、現地日曜日発
- フライト時間は平均的(現実的)なものを採用
- 東京発は、羽田・成田の双方で検索
- パリも、近郊の空港を同様に検索対象とした
結果
表の通り、エコノミーとビジネスクラスでは2.5倍から4倍以上の金額差が出ることもあるようです。またその差は、フライト時間が長い、フライト距離が長くなるほど、大きくなるようです。
マイルを使用する場合(国際線特典航空券の取得)
エコノミー(マイル) | ビジネス(マイル) | マイル差 | |
東京ーバンコク | 35,000 | 80,000 | 2.3倍 |
東京―ホノルル | 40,000 | 80,000 | 2.0倍 |
東京―パリ | 55,000 | 110,000 | 2.0倍 |
東京ーニューヨーク | 50,000 | 100,000 | 2.0倍 |
検索条件
- JALの特典航空券で検索
- 日本を木曜日発、現地日曜日発
結果
表の通り、エコノミーとビジネスクラスではほぼ2倍のマイル差となるようです。実際に購入する場合に加えて、エコノミーとビジネスの価格が縮まり、また距離の長さに関係ないのもいいですね。
エコノミー航空券をマイルでアップグレードする場合
エコノミー購入(円) | アップグレード(マイル) | |
東京ーバンコク | 142,000 | 36,000 |
東京―ホノルル | 135,000 | 50,000 |
東京―パリ | 199,000 | 33,000 |
東京ーニューヨーク | 231,500 | 54,000 |
検索条件
- JALのHPで航空券購入+マイルでアップグレードで検索
- 日本を木曜日発、現地日曜日発
結果
マイルだけで航空券を入手するよりも、約半分のマイルの使用でアップグレードできるようですが、JALのHPで双方の検索をしたため、比較的安めのSaverクラスでも、航空券の取得に費用がかかる結果となりました。
別のサイトで航空券を取得したうえで、マイルを使用すると航空券代は抑えられるかもしれませんが、逆にマイルの消費量が大きくなる、あるいは適用できない場合も考えられ、この航空券入手+マイルでのビジネスクラス航空券の取得というのは、あまりお勧めできないという結果となりました。
ビジネスクラス航空券の入手方法のまとめ
以上の比較から、ビジネスクラスをより割安に取得するには、マイルを使って入手したほうがお得という結論に至りました。
マイルの取得は、飛行機に乗るほか、陸マイラーと呼ばれる方法でマイルを取得できるので、そのうちその方法についてもまとめたいと思います。
ビジネスクラスはお得なのか、利用のメリットは!?
エコノミークラスとビジネスクラスにおける、サービスと入手方法を比較してきましたが、結局、ビジネスクラスはお得なのか、それとも、ただの金持ちの自己満足のためのチケットなのか、その辺について考察してみます。
時間は限られている
結局、ビジネスクラスとエコノミークラスの違いはここなんだと思います。
時間は誰にとっても同じ長さで重要なのですが、その重要性をよく理解している人ほどビジネスクラスを選ぶのだと思います。
エコノミークラスで10時間程度の移動をした場合、目的地に到着してもその日は体力的にも精神的にも疲れ切ってしまい、ホテルで休む、ホテルにチェックインできない場合は、レストランとか、公園とかの休憩できる場所を探して休むことになる、あるいは疲れている体に鞭打って、観光をするのでしょう。
行った日はもちろん、帰国したときも同様で、また一日休みが必要となります。
社会人となり、連続した休みが貴重なのに、その中から前後2日間も休みを使ってしまうのが、エコノミークラスです。
逆にビジネスクラスだと、機内を、その前後の空港を快適に利用できるため、エコノミークラスと比較した気力、体力の疲れはかなり少なく、当日から観光を楽しんだり、帰国してからすぐに次のことをすることができます。
その2日間にかかるホテル代、自分の1日の価値、失われた時間などを考慮すると、近場で5万円、遠くても15万円から20万円くらいの差はそれほど大きくないのでしょう。
お金を持っている人ほど、時間の貴重さを理解し、浮いた時間を次のビジネスにつかい、5万円、20万円以上の価値を生み出すのでしょう。
逆に、大学生など長期の休みを取得でき、1日、2日ほどやすんでもどうってことないっていう人はエコノミークラスを利用しても問題ないと思います。ただ、大学生にも時間の貴重さは早めに気づいてほしいですね。
さて、いかに仮に年収500万円の人が旅行する場合のメリットを費用の面でまとめてみました。
- 宿泊代:1万円/日が休むために余計に必要
- 自分の1日の価値:500万円/365日×前後2日は動けない。2.7万円
- 疲れていることで周りの人に与える悪影響:算定不可
- 旅行を1日楽しめない悪影響:算定不可
- 疲れから来る病気や心身への影響:算定不可
合計3.7万円+Price Less
このPrice Lessの部分が意外に大きいように思います。ここを重視して生きることができるかどうか、は人生を豊かに生きるポイントのような気がします。
なお、海外でも近距離の旅行の場合は、エコノミーでも全然問題ないと思います。これこそ気分の違いかもしれません。